東京高等裁判所 昭和45年(行ケ)47号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕二 そこで、本件審決を取り消すべき事由の有無について検討する。
……本件登録実用新案の出願前国内に頒布された刊行物(この事実は当事者間に争いがない。)で自在平行定規に関する特許明細書である引用例には、その機器の一部をなしているプーリー85および87間に、可撓性の紐帯が紐帯のプーリー上におけるスリップを抑制する目的でその各プーリーの全周を囲繞した状態で掛張されている構成が明らかに記載されている事実を認めることができ、この認定に反する証拠はない。そして、この認定を前提とすると、この構成をバランスウエイト付自在平行定規の全プーリーにつき採用し、これにより、各プーリーとベルトとの間の摩擦抵抗を一層増大させ、その間のスリップを確実に防止し、自在平行定規として平行性能がよく確実微細な伝達力をもたせるようにすることは、当業者が容易に推考実施しうるところであると認められないわけではない。
そうすると、引用例につき原告主張のごとく認定し、(編注、本件審決は、……、「引用例についてみると、同明細書の説明および図面には、ホイール(本件登録実用新案にいうプーリー)に可撓性の紐帯がめぐらされていることは示されているが、本件登録実用新案のようにプーリー全周を囲繞した構造は示されていない。」と認定し、このことを理由として、本件登録実用新案の登録を否定した。)卒然として原告の登録無効審判の請求を排斥した本件審決は、引用例の内容を誤解し、ひいて本件登録実用新案を無効とすべきかどうかの判断につき誤りをおかしたもので、違法として取消を免れない。
三 よつて、原告の本訴請求を認容……する。(服部高顕 石沢健 奈良次郎)